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海賊と呼ばれた男

 田原総一郎氏でも、石油関連業者には、赤子の手を捻るように容易く騙されてしまう。

 今回、言いたいのはそれである。

 石油メジャー。地上最強の神と呼ぶに相応しい。あるいは、それに匹敵する存在である。ただ単に巨大というだけではない。果てしない経済戦争の果てに、神に等しい手練手管を手中に収めた、実戦経験豊富な神の軍団である。

 約20年前、ガイアックスという会社が存在した。日本で、アルコール燃料を大々的に売り始めた企業である。

 日本では税制の都合上、ガソリン価格は外国に比べ異常に高い。ガイアックスは、税率の間隙に潜り込み、日本の自動車燃料価格を下げようと果敢にチャレンジした最初の企業である。

 結論から言ってしまえば、ガイアックスは滅びた。石油業界の反発もあったが、致命的だったのは、従来の自動車部品のゴムパーツが、アルコールに耐えられないと宣伝されたからだ。ちなみに、ブラジルなどはバイオエタノール燃料国家なので、自動車業界がキチンと対応してくれれば、脱石油とまではいかなくとも、かなりな部分をまかなえたはずだ。

 ちなみに僕は当時、ガソリンスタンドにて、ガイアックスのアルコール燃料の給油を頼んだことがある。しかしその店での対応は、取扱店にもかかわらず『ガイアックスは良くないですよー』という婉曲的な拒否であった。

 これは紛れもない『真実』である。僕は時代の当事者である。躊躇なく明言する!。

 当時、サンデープロジェクトなる島田紳助氏を司会とした番組が存在し、田原総一郎氏はその中で、自身が石油業界に直接インタビューした回答として、石油業界は石油に頼らない新エネルギーを開発中であり、そのためにガイアックスにシェアを奪われるわけにはいかないのだという論調を、盛んに行った。

「私は、この耳でちゃんと聞いたんだ。」

 田原総一郎氏得意の決めセリフは、毎回コレであった。何と愚劣で下等でバカなセリフだと、僕は毎回絶望したものである。

 僕には、畏友がいる。僕の学生時代、世間のことは何も知らない、無垢な、現在から思えば犬畜生にも劣るほど愚かであった頃、コレだけは読んでおけと勧められた、ノビーこと落合信彦氏の一連のノンフィクション作品群がある。

 落合信彦氏は、かなり偏った物の考え方の人ではある。が、石油関連に関しては、自身が直接職業として関わっていた都合上、かなり生々しい石油メジャーの実情を知ることができた。

 そこにあったのは、王という言葉すら生ぬるい、無垢な中東の人々を蹂躙する、神のごとき横暴の数々だった。

 石油メジャーは神である。単なる比喩でなく、その実力は神と呼ぶしかない圧倒的な威容である。その凄まじさの理解を望むなら、落合信彦作品を読めとしか言いようがない。無論、一方的に、落合信彦作品を支持しろというわけではない。何しろ、石油メジャーを正面切って敵視しようという男の作品である。偏っていないわけがない。むしろ、偏っているからこそ書けた作品群であって、そこは注意しなくてはならない。

 それでも、話半分だとしても、石油メジャーの横暴は凄まじい。神と呼ぶ以外、適当な言葉を探すことすらできない。

 田原総一郎氏ですら、良いように言いくるめられた。石油メジャーを筆頭とする、石油関連業者の口説が達者なことは、僕には簡単に想像することができる。が、田原総一郎氏はなんなくのせられた。これは、その過程の時間スパンを見続けてきた僕が語る真実である。

 田原総一郎氏は、人間が全く理解できていないと僕は思う。彼の知性には敬意を表するが、それにふさわしい人間としての欠落の大きさも認めざるを得ない。あれだけの知性と、教養のある人間が、経済ジゴロの言葉にコロリと騙されるザマは、恐怖さえ覚える。

「私は、この耳でちゃんと聞いたんだ。」

 なんとくだらない言葉だろう。人の語る言葉がすべて真実なら、この世に間違いも争いも存在しないだろう。この耳でちゃんと聞いた…だから何だというのだ?。

 田原総一郎氏の、自身の自信満々なるインタビューの答えから、二十年が過ぎた。石油関連業者から、新エネルギー発見の報告は一度たりとて聞いたことがない。

 当然だ。石油で十分稼げるのに、わざわざ新エネルギーを開発する理由がどこにある?。子供でも分かる理屈だ。
 しかし、田原総一郎氏には理解できない。氏の功績は評価すべきだが、万能ではないことを知っておくべきだろう。それどころか、人間心理に対する無理解という致命的な欠陥を抱えていることを、理解しておいた方がよい。幼稚園児ですら可能な、空気を読むという作業が、氏には不可能なのである。人として哀れにすら思うほどに。

 石油メジャー相手に戦うという事。それがいかに困難で、神に拳を振り上げるが如き無謀だと知れば、この映画作品に対する感動はひときわ違ったものになるであろう。

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